有利子負債月商比率

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有利子負債月商比率とは、ある時点において会社が月商の何か月分の有利子負債(借入金
など)を抱えているかを示す指標になります。一般的に有利子負債は月商の3か月以内が
好ましいとされています。資金繰り上、月商の3か月以内までであれば、借入金の元金返
済、利息支払いの負担はそこまで重くなりません。

しかし、借入金残高が月商3か月超となってくると返済負担が重くなり、資金繰りが苦し
くなってきます。したがって銀行から資金調達を検討するときには、月商の3か月以内と
しておく方が財務面の印象がよく見えます。

ただし、銀行から融資審査を受けるときにこの比率は勘案されますが、3か月以内なら大
丈夫というわけではありません。融資審査のときには他の財務指標や事業内容の将来性や
成長性、過去の実績、資金繰り、社長の人柄などを総合的に判断されます。有利子負債月
商比率はあくまでも融資審査において判断材料の一つということです。

有利子負債のバランス

会社の収益力や資産規模に対して有利子負債が大きすぎると、経営は不安定(業績悪化、
資金繰り悪化など)になります。また、株主に対して支払う配当金は、会社の業績に応じ
てある程度弾力的な運用が可能ですが、借入金の返済負担(元本、支払利息)は業績に関
係なく支払う義務があります。そのため、有利子負債は少ない方がいいとされています。

しかしながら、有利子負債残高が全く無い方が良いとは限りません。たとえば借入をしな
いがために、成長の見込める設備投資の機会をみすみす逃すかもしれません。いつでも潤
沢な手元資金があるわけではないですから、借入が必要になるときだってあります。

また、手元資金が十分にあって借入の必要がなくても、一定の借入はしておくというのも
資金繰り戦略の一つです。支払利息がもったいないと考える方がいらっしゃるかもしれま
せんが、普段から銀行と継続的に取引をおこなって良好な関係を築いておくことは、会社
を経営する上で重要なことです。

約定通りに返済を履行して返済実績を作っておけば、銀行は追加融資に関する稟議の決済
が取りやすくなります。ところが、新規借入申込みだと融資審査で慎重になり余計な時間
がかかる可能性がありますし、借入予定額が減額されてしまうかもしれませんし、そもそ
も融資審査が通らない可能性だってあります。

資本コスト圧縮

法人税は借入利息の支払い後で、配当金の支払い前の段階において課税されます。株主資
本の資本コストが過大で有利子負債が少ない場合などには、有利子負債を増額することに
よって、資本コストを抑制できる場合もあります。

計算式

計算式は次のとおりです。
有利子負債月商比率 = (短期借入金 + 長期借入金 + 社債) ÷ (売上高 ÷ 月数)

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